長崎地方裁判所 昭和35年(ワ)255号 判決
主文
被告は原告に対し金一四、〇〇五円と引換へに別紙目録記載の不動産の所有権移転登記手続をせよ。
原告その余の請求を棄却する。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実
原告訴訟代理人は、「被告は原告に対し金九、五〇五円と引換へに別紙目録記載の不動産の所有権移転登記手続をせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、
「原告は、昭和二〇年三月一五日頃被告の先代村田正寿より別紙目録記載の不動産を金一五、〇〇五円で買い受け、その内金として金五、五〇〇円を支払つている。ところで、右正寿は同年三月二三日死亡し被告に於て同二一年一月二三日家督相続し、これに困り本件不動産の所有権取得登記を経た。原告は被告に対しこれまで再三本件不動産の所有権移転登記手続を請求したがこれに応じないのである。なお、原告は、右売買契約成立後直ちに本件不動産の引渡しを受け、それ以来今日まで原告に於てこれを占有している。」と述べた。
(立証省略)
被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担。」とするとの判決を求め、答弁として、
「被告が原告主張のごとくその先代正寿の死亡により同人を家督相続した結果本件不動産についても所有権移転登記を経ていることはこれを認めるが、その余の原告主張事実は争う。なお、原告の本件不動産の占有は不法占有である。」と述べた。
(立証省略)
別紙目録
長崎市東小島町一二八番二
一、宅地 二四坪一合六勺
同所 一二八番
家屋番号同町第一五九番
一、木造瓦葺平家建居宅一棟 建坪 一六坪